ご挨拶
日常生活の中での気づきや感想を、五・七・五の俳句の手法で表現しました。俳句作りには、季語の約束がありますが、私はストレートな表現が好きなので季語の入らない短句も含まれます。
毎月初めに、私のウェブサイトに投稿予定です。自己流で作った句集ですが、どうぞご覧ください。
中嶋 徳三
七 月
1. 蒲公英(たんぽぽ)
蒲公英が花閉じ眠る丘の上
飛び石に蛙の先客立ち話
夕方、丘の上に群生した蒲公英が花を閉じて眠りについていました。人間と同様、夜になるとたんぽぽも眠りにつくことを知り、ちょっとした驚きの発見でした。
2. 中 道
釈迦の説く中道走る三車線
ひと逝くに畳一畳それで十分
天気予報は夕方に雨とあり、ビニール傘を持ち出かけました。夕方、帰宅時に傘がありません。どこに忘れたか全く記憶にありません。忘れたのを完全に忘れている、これは釈迦の説く悟りの境地ではと思いました。単なる認知症一歩手前ともいえますが・・。
3. 梅雨明け
梅雨明けやブランコ二つ出待ち顔
水撒きに草木がお礼の仕草をし
梅雨明けのテレビニュースが流れました。駅に向かう途中にある公園の二つのブランコは、いよいよ俺たちの出番が来たと張り切っているように見えました。
4. 夕涼み
風騒ぎ蚊も困りたる夕涼み
蚊が止まりはっしと打たばわが黒子
庭でビールを飲み夕涼みしました。この時期には、香取り線香が必要ですが、風があり使いませんでした。蚊たちは、風に煽られ仕事ができないと困っていました。
5. 花菖蒲(あやめ)
「いらっしゃい」花菖蒲が咲けり夜の街
電波時計狂わないのはつまらない
元同僚と夜の街に飲みに行きました。バーのママさんが着物姿で出迎えてくれました。ママさんは、あやめが咲いたような立ち姿で夜の街にも花が咲いていました。
六 月
1. 紫陽花
そら
山寺の紫陽花の宙しづかなり
紫陽花の碧ビー玉に見つけたり
二日前の俳句原稿では紫陽花の「宙」は「円(えん)」でした。新聞に「宙」の字を見つけて気に入り、急遽変更しました。句作りには言葉選びの遊びがありますね。
2. 茅の輪
右左廻り違えた茅の輪かな
カード失せ呪い愁ふや吾傘寿
マイナンバーカードの更新連絡がきました。マイナカードは使わないので、カードを探すのに一苦労。更新手続きでは、新しく4つの暗証番号を要求され、これを全部覚えるのは無理。
3. ちらし弁当
春野ゆくちらし弁当花盛り
「ロック・ユー」老いたこころに団扇風
久しぶりに、クイーンの「ウイー・ウイル・ロック・ユー」の曲を聴きました。八十路過ぎの老体のこころの中に、一陣の爽やかな春風が吹き込んで来たようでした。
4. 梅雨入り
声すれど傘のみがゆく梅雨の入り
偏屈と書きて我が顔浮かびけり
雨の中、垣根越しに子供の話し声が聞こえます。ちょうど学校の下校の時間です。でも、話し声だけで子供たちの姿は見えません。垣根の上を小ぶりの傘が二つ流れていきました。
5. 衣替え
衣替え世はひとにつれ臍を出す
人の世の深淵見た顔キリギリス
極端な短スカート、臍丸出しやお人形のような服装、年寄りには若い女性の姿についていけません。そういえば、昔に番長スタイルが流行り、校門前で先生がスカートの丈を上げるように注意してました。時代は変わらずですか。
五 月
1. 葉 桜
葉ざくらを好ましと思ふ齢かな
葉桜にわが散り様を学びたり
今年も桜の花見を楽しみました。老齢になったせいか、満開の桜よりも葉桜の方により趣があるように思えます。年齢によって物の見方や嗜好が変わるものですね。
2. 木瓜の花
艶かな木瓜の花には棘がある
木瓜の花その棘がまあ痛いのよ
妖艶な木瓜の花が好きです。この花を見てると、以前の職場の同僚仲間と通った新橋のバーのママを思い出します。やり手のママで、いつもやり込められていました。
3. チューリップ
チューリップ一本足立ち微笑みぬ
愛想無しでもどんな娘も華やかや
小さい頃の女の子が一時期、人見知りをして難しくなる時があります。でも、その愛想無しの娘(こ)のちょっとした仕草や姿が可愛らしく、とても華やかです。
4. 燕飛ぶ
筑波嶺や青田の上を燕飛ぶ
素足ゆく足の裏にも春は来た
若葉が輝き風薫る春爛漫の時節になりました。私は花粉症で、泪、鼻水、くしゃみなどの辛い時期と重なるのですが、すべてのものが輝やく春の季節は素敵です。
5. ブナ林
「笑ってね」婆が爺撮る桜かな
ブナ林躑躅をそっと包み込み
老夫妻が、満開の桜の下で写真を撮っていました。奥さんが「笑ってね」と言ったので、ご主人の遺影写真なんだと思いました。後で、私のこの邪推を恥ずかしく思いました。例え、本当の話であっても・・。
四 月
1. 桃の花
マシュマロの赤子の頬や桃の花
桃の花今宵の酒は盃にしよ
桃の花が花屋の店先に飾られて「春ですよ」と行き交う人に声をかけています。マシュマロのような赤子の頬もとても初々しく、ちょっと触ってみたくなります。
2. 春 雷
春雷は天の怒りか否祝歌
大鷺は湖面を叩き宙に浮く
湖に浮かぶ大さぎが、羽ばたきを始めました。でも、すぐには飛び上がれず、大羽で2回、3回と湖面を叩き、ようやく飛び上がりました。とても豪快な姿でした。
3. 春の萌え
昨日より今日より今よ春の萌え
雨上り庭の草摘む二つ三つ
春の萌えの時節、毎年見慣れているはずの芽吹きと新緑に見とれました。若い頃、このように新緑を観た記憶はありません。きっと年をとったからでしょうか。
4. 青春賛歌
ミモザ咲き青春賛歌口ずさむ
ハンドクリーム顔にのばせば風戦ぐ
晴れた日、顔が乾燥肌になりました。洗面台に置いてあるハンドクリームを顔につけたら潤いがでました。やっぱり、顔のクリームは、ハンドクリームに限りますね。
5. 桜
定めなく散り舞ふ桜わが身かな
姥ざくら趣あるぞと言い聞かせ
お年寄りのための体操が写真入りで新聞に載っていました。説明には、「まず浮気を意識しましょう」。「えっ、体操するのに昔の浮気を思い出せというの・・」。スミマセン。「まず呼気を意識しましょう」の間違いでした。あ~ビックリした。
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投稿者 中嶋 徳三